A Taste of Wharton MBA - ウォートン留学記

~商社、NPOからMBAへ。アラサー女子のウォートン留学生活ブログ~

MBAの価値ー卒業生の視点

2020年を振り返るならば間違いなく、COVID-19、に尽きると思います。

私も3月から在宅勤務、オフィスは夏頃から部分的に開放されたものの、在宅勤務が推奨されていて、毎日ニューヨークの自宅からバーチャル勤務。

4月から新しい部署に異動しましたが、上司や同僚とは一度も対面で会わないまま。

これで関係を築けるのかと思いましたが、特に問題なくやってます(とはいえオフィスでの勤務していた場合の比較対象がないですが)。

 

さて、MBA取得から約2年半、今の自分にとってのMBAの価値を記します。

私自身も留学すべきかどうか、MBAがベストな選択肢なのか悩みました。働き盛りの2年間と約2000万円の投資に対するリターンは何なのでしょうか。

 

明確かつシンプルな答えにまとめるのが難しいのですが、

将来の選択肢(特に仕事、キャリアの観点において)を一つのドアに例えると、

どのドアが自分の周りにあって、どのドアが自分にとって魅力的か、ドアを開けるために何が必要なのか、誰がドアを開けるのを手伝ってくれるのか、そしてドアの先に何があるかのヒントをくれるのか、

がより見えるようになるということかと思います。

 

もちろん、MBAで学ぶ内容も一つの価値なのですが、MBAに行くということはビジネスの世界に関心があり、そこでのキャリアに高い関心がある仲間の一員になるということ自体に価値があると感じています。

 

入学すると、多様なバックグラウンドの仲間と知り合い、活動をともすることになります(例えば、私のLearning team(入ってすぐに設定される、一緒に課題をこなす仲間)は、コンサル、Amazon, 不動産、Investment managementという顔ぶれでした)。それぞれのクラブも自分の関心を深める、広める、模索するのに最適なリソースでした(例えば、コンサルティングクラブは何年にも渡るケースブックやインタビューガイド、経験者のMockケースインタビューを提供)。業界とつながりのある教授の話(アダム・グラントは彼のクライアントの話を授業で取り上げてました)や学校のキャリア・マネジメントのサポート(インタビューPrep, 進路の相談等)など、自分のキャリアを考えるためのリソースがこれほど揃っているところはないと思います。

私の場合、模索のための期間という位置づけが強かったですが、すでに次の進路が決まっている人にとっても最高のリソースだと思います。

 

卒業後について、留学経験もアメリカでの就業経験(数ヶ月のインターンを除いて)もなかった私にとってアメリカでの就職はMBA留学なしにはありえないものでした。アメリカのIvy league のMBA卒という肩書はもちろん役に立ったと思いますし、きっかけをくれたのはMBAの友人でした。

親戚もいないアメリカに残る上で頼りになったのはMBA時代の友人、今後の進路に迷ったときはウォートンのアラムナイサポートのアドバイザーに助けてもらいました。

特定の会社や業界に興味があれば、アラムナイネットワークをたどって話を聞くことで知識とつながりを得ています。

 

ただし、これらはドアを開けてくれるものではなく、あくまで自分の知識と経験で開けないといけないものです。一方で、留学前の自分にとってこれらのドアの多くは見えていなかったし、ドアは開くものなのか、開ける方法をどうやって見つけ出すか検討がつかなかったと思います。

また、学位を持っていることで、この人はこのドアを開けられそうだ、と思ってもらえることも大きいです。

 

これらは、学校選びにもつながります。

どこの学校も多様性は確保されていると思いますが、なお個性はあります。特に地理的な要因も大きいです。MBAはネットワークの意味合いが強いので、どういった分野につよいか、アラムナイネットワークはどれだけ広いかは見るべき指標だと思います。

 

メリット・デメリットを考えた上で、最終的にMBAに行くかどうかはとても個人的な判断かと感じます。

私の場合、これらが留学前に見えたかというと、正直そうでもないです。でも、視点を広げるということが自分にとって大事であり、影響力を持ちそうであれば、投資の価値はあるのではないでしょうか。

 

皆さんにとってベストな決断ができることを祈ってます。

 

 

 

 

留学後のビザ - STEM OPT

以前の更新から1年以上たってしまいました.... Time flies... 

 

米国MBA留学される方の中で、卒業後はアメリカで働きたい!と考えてる方は結構多いのではないでしょうか。

そういう方との会話で必ず話題になるのが労働ビザ。

 

ここではSTEM OPTについて紹介します。絶対アメリカに残って働きたい、と思ってる方は学校選びの際にも重要な基準になるかもしれません。

 

ほとんどのinternational生は留学後OPTという制度の下で労働許可が下ります。OPT (Optional Practical Training) とは、F-1ステータス(政府からの派遣や国からスポンサーされてない限り、F-1という学生ビザで留学することになります)のもと、9ヶ月以上のプログラムでDegree(undergrad/ master)を取得すると、卒業後12カ月間はアメリカで働ける制度です。

 

その後は労働ビザ(H1-Bがたいていの人が取得する労働ビザ)を取得する必要があるのですが(出願には雇用主のスポンサーが必要)、H1-Bは年1回の抽選制のため、選ばれないと翌年まで待つ必要があり、OPTが1年しかないと、卒業前に内定をもらって4月の締切りまでに出願できれば2回のチャンス、そうでないと1回しかチャンスがありません(ちなみに、友人が計算したところによれば、Master卒のPassの確率は大体55%くらいだとか。。。)。これはあまり高い確率とは言えないですし、そもそもビザが1年しかないと雇ってもらえる確率も減ります(again, 企業が雇ってくれないと労働ビザへの出願もできません)。

 

既にふれたように、OPTは通常1年なのですが、実はSTEM OPT という制度があり、Science, Technology, Engineering, Mathematics関連の学位を取得した学生は、OPTの期間を24カ月間延長できる、というものです。

そして、MBAも学校/専攻によってSTEM対象になるものがあります。ウォートンも、StatisticsBusiness Analytics を専攻すると、このSTEM対象になります(!)

これは特に卒業後アメリカで就職したいinternational生にはよく知られていて、私が在校していた時も多くのinternational生が対象の分野を専攻していました。

私もBusiness Analyticsを専攻し、2019年にSTEM extension の申請をし、無事24ヶ月間の延長を得ることができました(その後も定期的な書類の提出などの義務があり、それを満たさないと取り消しもありますが)。

私の場合、2019年のH1-Bの抽選に当たらなかったため、このSTEM extensionがなければ働き続けられなかった、、、と思うと、この制度の存在はとーっても大きいです。

 

最近は他のトップスクールもMBAのカリキュラムの中でSTEM対象の分野を取得できるようになってきているようですが、アメリカで就職したい、という人には重要な基準になると思うので、志望している学校でSTEM対象の専攻があるかを確認してみることをお勧めします。

 

Good luck!! 

 

 

 

 

卒業後- アメリカ就職

久々にブログを書きに戻ってきました。

 

ちょうどMBA 1st round出願の選考結果が出始めているタイミングですね。受験アドバイスでコネクトした数名の方から嬉しいお知らせが届き、これから2年間のMBA生活が始まるなんていいなーと思い返していたところでした。

思う通りの結果に至らなかった方も2nd round諦めずに一番良い選択肢が残せるよう最善を尽くせること応援しています。

 

私はというと、、、今年の5月に卒業、その後はアメリカに残り、6月からNew Jerseyにある医療機器の会社で働き始めました。

去年末までは日本での就職先も決まり、帰国予定だったのが春に進路を転換し、アメリカに残る決断に至りました。

現在はNew Yorkに住みながらNew Jerseyに通勤する生活を送っています。

MBA留学が初の長期海外滞在でそれまで留学経験もなかった私がまさかアメリカでフルタイム勤務をするとは、夢には描いてましたが、現実的にはあまり考えられてませんでした。いろいろ事情があり、そして友人の助け、運も重なりこの結果に至ったのですが、今のところとても充実した日々を送っています。

正直、家族も親戚も全くいないアメリカで、学校の友人を除いて一から生活をしていくことは気楽ではないのですが、フルタイムの仕事があるということと、自由と個人の選択を重視するこっちのカルチャーがフィットしているのか、総じて楽しい日々を送っています。

 

職場での6ヶ月は暗中模索でした。

職場には日本人はほとんどおらず、アジア人も少数派の中、言語とコミュニケーションスタイルを読み解くのにエネルギーと時間を要し、

プロジェクトが複雑で理解するという第一歩に至るのも一苦労で、

産休に入る前任者と出張でほとんどオフィスにいない上司とで誰に何を聞けばいいかも手探りで、

でも使えなかったらクビだしな(そこまでラディカルに見てないかもしれないですが)、、、

と思いつつ必死に走ってきた気がします。

 

MBAに続き、これまでの生活で培ったものは、

不確実性とストレスに対する耐性が一番大きいかもしれません笑

 

一方で、それに耐えた時に見える違った景色や周りの態度も一つのモチベーションなのも確かです。

 

日本で働いていた時との違いは、一言でいうとこっちのほうが確実に個人主義です。

それは、チームワークがないという意味ではなく、より高いself awarenessとself managementが求められるということだと今のところ解釈しています。当たり前かもしれませんが、

- I know what I'm doing

- I know what I can do/ cannot do

- I know what I need/don't need

というのは、私ができてた気がして実はできていなかったと最近気づいたことでした。e-mail一つにしてもこれからクリアなのかどうかによって相手の反応も違いますし、その積み重ねが仕事上のコミュニケーションができるできないにつながってきます。

 

言語とこれまでいた文化/国/地域が違うというのは仕事上大きなハンデになりえます。

そいういう意味でも、こっちでどうキャリアを積んでいくかは一つの大きな課題です。

走りながら考えている状態ですが、適宜気づきをシェアしてきます。

 

 

 

 

ウォートンでの学び:日本を外から見る

ウォートンはクラス/キャンパス外でもいろいろな学習の機会を提供してくれる。

特にinternationalなプログラムとして単位も取得できるものとして、Global Immersion Program (GIP)とGlobal Modular Courses (GMC) がある。どちらのプログラムも国もしくは地域(South East Asia など)ごとにプログラムが分かれており、GIPは特にその国の経済的、文化的、政治的なビジネスドライバーを、事前のレクチャー及びその地域を訪問してビジネスリーダーやアラムナイに会うことで学ぶというもの。GMCはGIPよりも短く3-4日間その国を訪れ、特定のテーマ(例えばドイツ企業のオペレーション、イスラエル企業のイノベーション、中東と北アフリカの金融など)にフォーカスして、現地の企業を訪問して学ぶ、というものである。

 

実は、日本に対してもJapan GMCというプログラムが春休みの期間を利用して設定されている。

このプログラムのTeaching Assistant (TA)のリクルーティングに日本人学生に声がかかるのだが、せっかくの機会なので2年生の春休みを利用してTAをやってみることにした。

このプログラムはもともと日本企業(特に自動車産業)のサプライチェーンにフォーカスしたものだったが、数年前から”日本の競争力:日本のプロ―チ、進歩、今後のチャレンジ”と題した、よりBroadなトピックのプログラムだった。

具体的には、4日間東京で7-8社の企業訪問に加え、政府関係者や教授、起業家などの有識者の話から日本企業を取り巻くマクロ経済の状況やそれぞれの企業の事業から日本企業の競争力と直面するチャレンジについて学ぶ、というもの。

そもそも定員に対して2倍強の応募があったクラスでもあり、個人的には旅行等で忙しい春休みにそこまで日本に関心のある人がいることもやや驚きだった(アジアと言えば、やはり中国のほうが最近は話題に上がることが多い)。

このクラスは、MBA生だけでなく、Exective MBAの学生にも提供されているものであり、実際7割程度はEMBAの学生。日本が初めてという人もいるが、皆何かしら日本に関心のある人がほとんどだった。それは、個人的な関心(漫画やゲーム)でもありまたビジネス上のつながりであった。

 

TAをしての一番の学びは、アメリカのビジネスパーソンの目に日本という国、日本企業がどう映るのかを学ぶことができたことだろう。

プログラムのコーディネートは難しい部分もあるが、そのやり方についてサポートという形で関わることができたのもよい経験だった。日本企業のスピーカーとのアレンジは大変な作業で、TAとして関われたのはほんのサポート程度だったが、やはり綿密なPlanningが差を生むと思った。

それはさておいて、最も学びになった、アメリカのビジネスパーソンの目に日本がどう映るのかというところについては、一緒に同行しての彼ら/彼女らの反応を見ることや、レポートを読むことで知ることができた。

 

自分自身、アメリカに留学して、自分で見えていなかった、個人としての特性を意識することも多かったが、今回のGMCでそれは一人の日本人としての特性でもあるということを知った。

 

多くの学生があげていた日本(企業)特有の特長として

1.会社が自社の利益を超えた、社会の利益のために存在し事業をしている。例えば利益があがらなくても、その事業が顧客に求められているのであれば続ける。従業員の首は基本切らない、といったことはアメリカのビジネスパーソンからすると信じがたいことである。お金を超えたところに事業の原点があるというのは、日本人が信頼関係やそれに基づく忠誠を重んじるからだろう、というところを指摘する人が多かった。

持ちつ持たれつの関係を当たり前のように思っていたところもあったが、それは日本特有の価値観である。それは、ムラ社会ではないが、「社会」が個人に大きな影響を及ぼす日本文化があっての考え方のような気もする。

 

2.日本の課題として、高齢化に伴う労働力減少もあるが、最も大きな課題はイノベーションの欠如であり、日本のスタートアップカルチャーはまだまだ弱い。

大学を出て大企業で働くことが最もよい選択肢でスタートアップで働くというと周りに心配される、という話に衝撃を受けている人は多かった。現状維持を良しとするカルチャー、リスク回避的な日本人の気質が根底にある、というのは多くの学生が指摘するところだった。これは、まさに日本でも課題として取り組まれてきたところではある。一方で、価値観の部分はそこまで変わっていない気もする。私がアメリカに来て最も感じるのも、リスクテイクに関する考え方の違いだ。リスクを取らない限りリターンはない。リスクを回避するのではなくマネージする、という考え方はここに来るまで意識したことはなかった。

 

 

これらの特徴は、どういう会社に訪問して、どういうトピックについて紹介するか、また学生個人の関心に左右されるところも大いにあるので、一般化はできないものの、多くの学生がレポート上で同じトピックに触れていたのは驚きだった。

 

また、複数のコメントとして、日本は矛盾を内包する社会と言っていたのも興味深かった。つまり、100年続く会社、一途に伝統を守る会社がある一方で、ロボットといった先端技術を取り入れる、新しいものに興味を示す部分もある、というのだ。こういった見方は目新しいものではない気もするが、4日間日本を訪問しただけでこういったコメントが出てくるのも驚きだった(事前のリサーチもあったかもしれないが)。

 

このGMCを通じて日本を理解する人が少しでも増えてくれたらとの期待を込めて関わったが、私自身、企業を訪問する中で見るちょっとしたコミュニケーション(お互いが期待するもの)の食い違いを感じることも多かった。言葉にできない部分を察することができるのは、おそらく私が日本人であり、日本企業で働いた経験があるからだろう。一方で、それを伝えられなければ、そういう経験・バックグラウンドを持つ人には伝えきれない。

日本人として生きてきて、知らないところで自分の考え方に大きな影響を受けながらも、時々日本社会や企業での息苦しさみたいなものを感じ、アメリカでの生活に心地よさを感じる一個人として、私は今後どういう生き方がしたいのか、立ち止まって考えるよい機会になった。

 

 

留学資金の調達方法

特に私費留学をお考えの皆様向けの投稿になります。

 

まず、始めに。MBA留学は決して安くありません。というかすごーく高額の投資です(少なくとも私の水準からすると)。

アメリカの2年生の私立大学だと学費だけでも約1,600万、生活費も含めると2,500万近くの出費になります。もちろん、2年間の間に稼げた年収といった機会費用も含めるともっと高いですね。

 

したがって、本当にこれだけの価値があるか、というとこからスタートするのが適切な気がします。単純に留学前後の年収の差で考えても取り戻すには数年はかかります。MBAに行かないと実現できない年収アップかといわれるとそうでもない気もします。

 

ちなみに、私は年収アップというよりは経験とか視野を広げること自体が自分の幸せにつながると思ったため、どちらにせよ留学はしてよかったと思ってます。ただ、何を大事と考えるかは人それぞれなのと、資金調達は現実的に苦労する問題なので、出願前に考えておくのが望ましいと思います。私は資金調達についてザックリとしか考えておらず、奨学金の検討が出願後になってしまい手遅れになったため、その反省も含めてお伝えしたいと思います。

 

資金調達の具体的な方法ですが、だいたい以下のいずれかになると思われます。

1.自己資金(貯金等)

2.家族や親族からの借金

3.奨学金

4.ローンによる借入

 

私の場合は1~4すべて使いました。この年で親から借りるのもかなり恐れ入りましたが、背に腹は変えられません。本当に周りの協力なしに生きていないなと思います。

ここでは特に、3.奨学金と4.ローンについてもう少し書きます。

 

3.奨学金

どのような奨学金が存在しているかは、ネット検索、MBA留学生のブログをチェック、MBAカウンセラーからの情報収集などで調べました。以下、すべては網羅できてないかもしれませんが、

・フルブライト奨学金

・伊藤国際教育交流財団

・神山財団

・中島記念国際交流財団

・平和中島財団

・本庄国際奨学財団

・日本財団

・村田海外留学奨学会

 

といったところがMBA生も対象にしています。いくつかの財団を除いて出願がMBAの1st roundよりも早いので注意が必要です。また併願可否や卒業後の進路に制限もあったりするのでそこも要確認。

また、学校が奨学金をつけてくれたり、大手コンサルティングファームが奨学金プログラムをオファーしていたりしますが、合格後にしかわからないことと、なかなかの狭き門なので日本で奨学金のアプライをしておくことが望ましいと思われます。

私は2nd round後の準備になってしまったため、応募したのは神山財団だけでしたが、幸運なことに奨学金をいただくことができ大変助かりました。

 

 

4.ローンによる借入

ローンは、日本で調達していく場合と、留学先で調達する場合2つあります。が、日本で調達するのは、仕事を辞めていく私費の場合ほぼ不可能なことが多いです。私も政府系の公庫や都市銀行、地銀の教育ローンをあたりましたが、海外の学校に行く場合はほぼ対象外となりました。その他の多目的ローンなどは金利が高いためあまり検討しませんでした。

そうなると、留学先で調達するしかないのですが、ここでもinternational生は苦労します。アメリカの場合、アメリカ人が使えるローンは適用外のため、民間の機関がMBA生向けに提供しているローンを使うことになります。ただ、これらは金利が高く(7-8%+Origination fee)、かなり不利です。

私はこのローンは最終手段として、できる限りほかの手を探しました。

最近、日本学生支援機構が海外留学生向けの低金利融資のプログラム(第二種奨学金)を提供しており、私は留学開始後に申し込みをしました。必要書類や手続きが煩雑かつ借入上限が低めなのがつらいですが、2-3%で借りれる有効な資金調達方法かと思います。興味を持たれた方はウェブページから確認してみてください。

 

 

 

資金調達は侮れない問題です。

やはり借金を抱えると、卒業後の進路も慎重になりますし、在学中も資金調達に時間とエネルギーを使うことになります。

日本を出てみると、周りの学生で借金をしている人は多く、特に新興国出身で借金のある学生は必死で給料の良いアメリカに残ろうとします。まだアメリカと同レベルの給与の仕事がある日本はいいほうだなと思いつつも、MBA生活を不安なしに満喫するためにも、留学をご検討の皆様、ご利用、その手前のご調達は計画的に!

 

 

 

 

 

専攻②:Business Analytics

Business Analytics (BA) はおそらく最も新しい専攻科目(確か2-3年前に創設された)である一方で、International生に一番人気の専攻になっている。

その主な理由は、BAはSTEM(Science, Technology, Engineering, and Mathmatics)分野に分類され、この分野の専攻をとることで、卒業後就労ビザなしで働ける期間が通常の1年から3年に延長できる、というものだ。

現在アメリカでの就労ビザ(基本はH1-B)は年に1度の抽選制になっており、抽選に通る確率を上げるためにも、2年延長ができるのはとても大きい。

詳しくは調べていないが、他のMBAだとこのSTEMにカウントされないことも多く、ウォートンにきてよかった実用的な理由の一つとなった。

 

ビザの延長ができる、というのは私がBAを専攻した一つの理由ではあるものの、もともとはデータ分析やDegitalizationは今後避けて通れないトピックであり、その背景にある考え方についてもう少し知っておきたい、というのがモチベーションだった。

前々職で、Forecastingといったデータ分析が面白く、今後もかかわってみたいと思ったこと、ビッグデータやIoTといった増え続けるデータをどう価値のあるものにしていくか、といったことはどの業界にいても話題に上がることに思われたし、Machine learning やArtificial Intelligenceがビジネス界にもたらすインパクトを考えると、その仕組みを少しでも理解してビジネス上の課題とつなげられる人材になれることが今後求められると考えた。

私がBAの専攻を決めたのは、2年生の春学期(最終セメスター)と遅かったのだが、それまでにとっていたファイナンスの授業でも統計の考え方が出てくることがあり、もっと知っておきたいと思ったのも一つの要因だった。

 

一学期で必要な単位を詰め込んだため、必ずしも希望通りのクラスばかりではないが、私がとった授業は:

Business Analytics 

Data and Analytics for Marketing Decisions

Analytics for Services 

Forecasting Methods for Management

Predictive Analytics for Business

Mathmatical Modeling and its Applications in Finance

 

統計の理論を基本として、それをマーケティングの分野で応用したり、サービス業(ヘルスケア、飲食等)のリソース管理に応用したり、ファイナンスのオプションの価値評価に使ったり。Predictive Analytics for Businessでは、Logistics regressionといった、マーケティングリサーチの結果分析等でも多用されるモデルについて学んだ。また、Machine Learning のアルゴリズムの背景にある、Random Forest やNeural networksについても触れ、深くは立ち入らないものの、最新の知見に触れられる興味深い授業だった。

これらの授業は基本レクチャー形式だが、グループ課題が多く、4-5人のチームで実際のデータをもとにモデルを作って分析するという実践的なものである。グループワークが故に、時間を費やして自分の手を動かしてモデルを作ることもできるし、忙しいときはほかのメンバーの力に頼るということもできる。どの科目にも共通のことかもしれないが、自分で手を動かしてみないと学びが得られない、というのも分かった。

 

授業外でも、Wharton Customer Analytics InitiativeやWharton People Analyticsといったプロジェクトがあり、Expedia やHertz Rent-a-carから提供された実際のデータを分析できたり、コンペがあったりとリソースは豊富である。これもウォートンがデータに強いと言われている理由だろう。

 

MBAの中のStatistics, Analyticsなので、この後Data Scientistになれるかというとそうではないが、例えばTech系の会社でそういったエンジニアとも会話ができるくらいにはなるのではないかと思う。

 

2014年に出版された「統計学が最強の学問である」という本は異例のベストセラーになったが、アメリカでも統計への注目度は依然として高い。

 

 

 

 

専攻①:Finance

ウォートンではMBAには珍しく(?)専攻を決め、卒業に必要な単位をとることが求められている。

 

といってもそこまでがちがちに専攻に縛られることはないのだが、卒業に必要な19単位のうちだいたい4-5単位(専攻による)を専攻に充てる必要がある。

 

私のWhy MBAは、マネジメントに必要な知識を一通り学ぶ、というざっくりしたものであり、どちらかというとManagementの専攻が近かったのだが、最終的にFinanceとBusiness Analyticsを専攻することにした。

 

理由としては、より実用的な知識/スキルをつけることを重視したこと、今まで踏み込んだことのなかったFinanceとBusiness Analytics(主に統計を中心とした定量的な分析に関する科目)が単純に面白かったこと、が主なものである。

 

1年目に必修科目として、マクロ経済、ミクロ経済、ファイナンス、統計、マーケティング、マネジメント、オペレーションと一通り学ぶ中で、これまで漠然と考えていた経営(マネジメント)がどういう構成要素から成るか、ということがこれまでよりは見えるようになった。経営者にとって必要な意思決定能力やコミュニケーション能力、リーダーシップ能力(ビジョンを描く能力)などは座学で学べる範囲が狭いと思われるし、実践が最も力をつけてくれるものである一方、MBAではその意思決定の背景、プロセスで必要な、分析を通じて何が最適な選択なのかを理解するスキルを授けてくれるという理解をした。

現在ビジネスに必要なリソースは、人、モノ、金、情報といったところだろうか。その中でも金、情報/モノの最適なリソース配分を考えるバックボーンにあるのが、それぞれファイナンス、統計(Business Analytics)ではないかというのが私が得た仮説だった。

Financeでは主に、会社やプロジェクトの価値を評価する。それはどれくらいの初期投資に対してどれくらいの期間にどれだけのリターンが見込めるのか。また、その投資に関するコストをどう見積もるのか。コストも、株式を発行するのと借り入れを行うので違ってくるので、どうそこも計算に入れていくのか、といったことを考えるのが基本になる。

私は以下のFinanceの授業をとった。

Corporate Finance (必修科目)

Advanced Corporate Finance

Corporate Valuation

Finance of Buyouts and Acquisitions

Venture Capital and Finance Innovation

 

ウォートンはファイナンススクールと言われていた(いる?)だけあって、ファイナンスの教授陣の質は高いと思う。

また、授業も実践的でAdvanced Corporate FinanceやBuyoutの授業はほとんどケースをもとに、実際のプロジェクトのバリュエーションを行うスタイルだった。また、BuyoutではDeal Proposalといって実際の会社を選び、買収提案書を書くというとても実践的なプロジェクトも含まれていた(私たちのグループはNikeによるLululemonの買収を提案した)。

教授陣は実経験も豊富で、私のAdvanced Corporate Financeの教授はトルコ国有企業の私有化を政府にアドバイスした人であり、彼が授業の合間に話す例は興味深かった。

自分でエクエルをたたいて数値を出すことを求められる授業であり、一通り授業をとれば、Discounted Cash FlowやCompを用いたValuation、LBOモデルを作ることはできるようになる。ファイナンス業界への就職を考える人には就活にも役立つ内容である。

また、教授がウォートン生に求めるレベルも高い。ウォートン生なんだからここまでは妥協せずに知っておく必要がある、という言葉を授業でも何度か聞いたことがある。ウォートンで教育を受けたからには、Most skilled among other peersでないといけない、という。

 

ファイナンスの知識ゼロの私には時間と労力のかかるプロセスだったが、今後実社会で使うか否かに関わらず、考え方を学べたという点では、こういった教授の下でファイナンスを学べたのは幸運だったと思う。

 

教授が最後の授業で生徒に送ったメッセージは、「光陰矢の如し。日々を大事に過ごすこと。時間だけが唯一、一定の方向にしか過ぎていかないもの。」というもの。

時間を金銭価値に変えて考えるファイナンスの教授らしいなと思いつつ、身が引き締まる思いがした。