A Taste of Wharton MBA - ウォートン留学記

~商社、NPOからMBAへ。アラサー女子のウォートン留学生活ブログ~

専攻②:Business Analytics

Business Analytics (BA) はおそらく最も新しい専攻科目(確か2-3年前に創設された)である一方で、International生に一番人気の専攻になっている。

その主な理由は、BAはSTEM(Science, Technology, Engineering, and Mathmatics)分野に分類され、この分野の専攻をとることで、卒業後就労ビザなしで働ける期間が通常の1年から3年に延長できる、というものだ。

現在アメリカでの就労ビザ(基本はH1-B)は年に1度の抽選制になっており、抽選に通る確率を上げるためにも、2年延長ができるのはとても大きい。

詳しくは調べていないが、他のMBAだとこのSTEMにカウントされないことも多く、ウォートンにきてよかった実用的な理由の一つとなった。

 

ビザの延長ができる、というのは私がBAを専攻した一つの理由ではあるものの、もともとはデータ分析やDegitalizationは今後避けて通れないトピックであり、その背景にある考え方についてもう少し知っておきたい、というのがモチベーションだった。

前々職で、Forecastingといったデータ分析が面白く、今後もかかわってみたいと思ったこと、ビッグデータやIoTといった増え続けるデータをどう価値のあるものにしていくか、といったことはどの業界にいても話題に上がることに思われたし、Machine learning やArtificial Intelligenceがビジネス界にもたらすインパクトを考えると、その仕組みを少しでも理解してビジネス上の課題とつなげられる人材になれることが今後求められると考えた。

私がBAの専攻を決めたのは、2年生の春学期(最終セメスター)と遅かったのだが、それまでにとっていたファイナンスの授業でも統計の考え方が出てくることがあり、もっと知っておきたいと思ったのも一つの要因だった。

 

一学期で必要な単位を詰め込んだため、必ずしも希望通りのクラスばかりではないが、私がとった授業は:

Business Analytics 

Data and Analytics for Marketing Decisions

Analytics for Services 

Forecasting Methods for Management

Predictive Analytics for Business

Mathmatical Modeling and its Applications in Finance

 

統計の理論を基本として、それをマーケティングの分野で応用したり、サービス業(ヘルスケア、飲食等)のリソース管理に応用したり、ファイナンスのオプションの価値評価に使ったり。Predictive Analytics for Businessでは、Logistics regressionといった、マーケティングリサーチの結果分析等でも多用されるモデルについて学んだ。また、Machine Learning のアルゴリズムの背景にある、Random Forest やNeural networksについても触れ、深くは立ち入らないものの、最新の知見に触れられる興味深い授業だった。

これらの授業は基本レクチャー形式だが、グループ課題が多く、4-5人のチームで実際のデータをもとにモデルを作って分析するという実践的なものである。グループワークが故に、時間を費やして自分の手を動かしてモデルを作ることもできるし、忙しいときはほかのメンバーの力に頼るということもできる。どの科目にも共通のことかもしれないが、自分で手を動かしてみないと学びが得られない、というのも分かった。

 

授業外でも、Wharton Customer Analytics InitiativeやWharton People Analyticsといったプロジェクトがあり、Expedia やHertz Rent-a-carから提供された実際のデータを分析できたり、コンペがあったりとリソースは豊富である。これもウォートンがデータに強いと言われている理由だろう。

 

MBAの中のStatistics, Analyticsなので、この後Data Scientistになれるかというとそうではないが、例えばTech系の会社でそういったエンジニアとも会話ができるくらいにはなるのではないかと思う。

 

2014年に出版された「統計学が最強の学問である」という本は異例のベストセラーになったが、アメリカでも統計への注目度は依然として高い。